●オンコル私史 合成化合物概史

【11/07/24作成】

ベンフラカルブ(製品名:オンコル)は,カーバメート系殺虫剤カルボフランのアミノスルフェニル誘導体である。

Benfuracarb(ベンフラカルブ)
   Benfuracarb(ベンフラカルブ)

Carbofuran(カルボフラン)
   Carbofuran(カルボフラン)

ベンフラカルブ開発当時はすでにカルボスルファン(製品名:アドバンテージ)が米国FMC社で開発されていた。

Carbosulfan(カルボスルファン)
   Carbosulfan(カルボスルファン)

カルボスルファンの特許には一般式が書かれ,R1,R2はアルキル基または置換アルキル基である。しかし,その置換基のリストの中にアルキルオキシカルボニル基は記載されていなかった。

カルボスルファンの一般式
   カルボスルファンの一般式

ベンフラカルブとカルボスルファンの化学構造式を見比べただけの方は,大塚化学が特許抜けのために置換基のリストにないアルキルオキシカルボニル基を導入し,カルボスルファンより優れた点を無理矢理見つけ出して特許化したと邪推するかもしれない。

しかし,当初開発を試みていたカルボフランのアミノスルフィニル誘導体S(sulfenyl)ではなくSO(sulfinyl))から旧オンコル(社内番号:OC-10274)を経て,新オンコル(ベンフラカルブ)に至るまでには長い思考錯誤があり,多くの化合物を合成する必要があった。

その概要を以下に示す。詳細は私史本文に記載する。

オンコル(ベンフラカルブ)に至るまでの化合物1
オンコル(ベンフラカルブ)に至るまでの化合物2

賢い研究者なら,決してカルボフランにグリホサートエステルをSでつないだ化合物など合成しないだろう。グリホサートは除草剤であるから,虫が死んでも作物が枯れてしまう。私が,この化合物を合成した意図は私史本文に記載する。

余談だが,OC-10274は大塚化学において10274番目に合成された化合物ではない。通し番号を付け始めたのは1979年からで,9001番から始まっている。1980年に新たに10001番から始めたため,OC-10274は1980年に274番目に合成された化合物である。1981年は11001番から始める予定であったが,合成担当者が3人から大幅に増え,年に999化合物以上の合成が可能となったため,完全な通し番号とすることとなった。

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