使役動詞の使い方:<make>&<have>編
タカオ:森先輩、質問があるんですけど、いいですか?
森 :質問て何? またややこしいんだろ。タカオの質問は難しいだよ。
タカオ:そんなこと言わないでくださいよ。先輩しか説明してくれそうな人が
いないんですから。
森: 学校の先生に質問すれば?
タカオ:そんなの無理ですよ。学校で習うのは受検英語で、受検英語とくれば、
『理屈抜きで覚えろ!』
でしょ。今日だって、補習の英語で、やたら”連語”とか”熟語”とか出てきて、
それを全部覚えろ、て言われるんですよ。『覚えろ』って言うのは楽だけど、
実際に覚えるのは大変ですよ。
あんなにたくさん覚えられるわけないし。
それに少しでも何か説明してくれたら、まだなんとかなると思うけど、
何にも説明してくれないんですよ。あれじゃ、とてもじゃないけど、
覚えるの無理っす。
森 :まぁね、それは確かに言えるね。俺も高校時代に似たような経験をしているよ。
でも、無理って言わないで、具体的な話をしようよ。どんな質問があるの?
タカオ:え〜と、色々あるんですけど、今日の補習で<let>や<make>とか、
使役動詞に関係する連語がいっぱい出てきたんですよ。そのなかに、例えば、
★ make it a rule 〜 → 〜を習慣にする
こんなのがあったんですけど・・・
森; いかにも受験英語で習いそうな”連語”だね。でも、それ確か大学の指導教官
の話では、今時はほとんど使わないらしいよ。
タカオ:えっ、そうなんですか。だったら、こんなのしなくても・・・
森; でも、受験英語ではやらなきゃ仕方ないだろうね。
タカオ:やっぱり、そうなるんですか。それじゃ、仕方ないから質問するんですけど。
<make it a rule>の<make>の所を、<have>に代えたら、
まずいんですか?
森: ちょっと待ってくれる。ようするにタカオの言いたいのは、
★ 『寝る前に散歩するのを習慣にした』
I made it a rule to take a walk before going to bed.
↓
<made>を<had>に入れ替える
↓
I have it a rule to take a walk before going to bed.
って、ことだろ。
タカオ:そういうことですね。それで、<make>を<have>に入れ替えられるんですか?
森: 手元の辞書で今調べてる範囲では、出来ないと思うんだけど・・・
タカオ:でも辞書に全て載っているわけじゃないですよね。辞書に載ってなくても、
正しいのがあるんじゃないんですか?
森: 確かに、その可能性も否定できないけど・・・、
でも多分、入れ替えるのは無理だと思うね。
タカオ:なんで、そんなこと言い切れるんですか。失礼なことかもしれないですけど、
先輩にとっても、僕にとっても、英語は、しょせん外国語なんだから、知らない
ことっていうか、見たことも聞いたこともない英語があるわけで・・・
その意味で、<make>を<have>に入れ替えるの無理かどうか、決めるのは
無理じゃないんですか?
森: もちろん、そうだろうね。英語は外国語でしかないから、そこまで言い切れない
ことが多いと俺も思う。
でも、見方さえ上手く出来れば、あるレベルまでは、<予測>できると
思うんだ。
タカオ:<予測>ですか?
森: 予測が何か、ぐたぐた言うより、具体的な例で考えてみよう。その方が、
分かりやすいと思うから。
それで、タカオの質問を使ってみようか。
問題になっている使役動詞の<make>だけど、
<have><get><let>みたいな他の使役動詞と並べて考えてばかり
いるから、話が見えにくくなって、上手く予測が出来なくなるんだ。
たまには、<make>そのものについて考えてみると面白いことが見えて
くるよ。
タカオ:<make>そのものって?
森: <make>の最も基本になる意味って何だと思う?
タカオ;最も基本の意味は、<make>だから、『作る』でしょ。
森; 多分そうなるだろうね。
それじゃ、『作る』の<make>で、少し例文を作ってみようか。まず、
★ I made a chair for her.
タカオ:これって、『彼女にイスを作ってあげた』ってことですよね。
森: そうなんだけど、大事なのは、ここからなんだ。受験英語っぽくて少し抵抗が
あるかもしれないけど、この文だと、目的語が<a chair>の1つしかない
SVOの文型だよね。それを目的語が2つあるSVOOに書き換えてほしいんだ。
タカオ:それって、<for her>から<for>を消して、あと少し単語の順番を
入れ替えて、
★ I made her a cake.
S V O O
これでOKですよね。
森; そうなるよね。そしてここで確認してほしい大事なことが、<make>のあとに
ある名詞(の固まり)の数なんだ。
タカオ:それって簡単ですよ。SVOOってことだから、目的語が2つあるでしょ。
ということは、
<her>と<a chair>の、2つの名詞(の固まり)がありますよ。
森; そうだよね。そこで、さっきのタカオの質問を見直してみると、
★ I made it a rule 〜.
これだけど、<make>の後ろに名詞がいくつあるかな?
タカオ:<it>と<a rule>の2つです。
森: もうそろそろ、何かに気付かないかな?
『作る』と『使役』の<make>の共通点について・・・
タカオ:どっちも名詞の固まりが2つ取れるんだ。
森: その通り。そして、今度は、同じことを『使役』の<have>についても考えて
みよう。
タカオ;分かりましたよ。先輩の言いたいこと。今度もさっきと同じように、
<have>の基本の意味から考えるんでしょ。
森 :その通り。そして、それから・・・
タカオ:それから、<make>と同じように、基本の意味で、SVOO、つまり
<名詞>が2つ取れるか調べるんでしょ。
森: 正解。
タカオ:<have>の基本は、
★ I have the book (with me).
『僕の手元に、その本があります。』
これですよね。
森: 多分そうだろね。『〜がある』とか『〜を持っている』というのが、<have>
の基本の意味だろうね。
タカオ:そして、これを、SVOOにするために、<with me>の<with>を消して
★ × I have me the book.
こんなふうにしても、これは英語としては使えない。
つまり、<make>と違って
<have>の基本は、後ろに名詞を2つ取ることが出来ない。
森: だから・・・
タカオ:だから、<have>の基本の意味で、後ろに名詞を2つ取ることが出来ないん
だから、
★ ・・・have it a rule・・・
こんな感じで、
『使役』の<have>でも、名詞を2つ取ることは出来ない。
こういうことですね。
森: その通り。
これが、さっき話した<予測>の具体例の一つなんだ。
それぞれの単語の基本的な意味を元にして、他の意味でどう使われるかを、
予測してみるんだ。
当たり前のことだけど、1つの単語に意味がたくさんあっても、
きっと、元は同じ意味から、発展してきたものだと思うんだよね。
すこし堅いこと言うと、
元の意味から、その他のより発展した意味が、”派生”したんだ。
ということは、元の意味を引き継いでいるわけだから、元の意味と、それに
関連する文法的な特徴を調べれば、派生した意味での使い方も、ある程度
までは予測できるんだよね。
ちなみに”派生”のことについて、もう少し踏み込んだプリントがあるから
後で読んでみてよ。(興味のある方は、こちらをクリック)
もちろん予測するだけじゃダメだけどね。予測したからには、それで正しいか
確認する必要があるし、その確認のためには、少しでも多くの英語に触れる、
つまり、経験を積む必要があるしね。そして、その上で、予測通りなら、
そのままにして、予測が外れていたら、その予測を、できるだけ適切に
修正(バージョンアップ)する必要があるだよね。
タカオ:元になる意味を使って、<予測>し、それを<確認>し、問題があったら、
<修正:バージョンアップ>する。
森: そうなんだ。英語を少しでも身に付けたいなら、
予測、確認、修正(バージョンアップ)、この3つもできた方が、面白いと
思うね。
英語を先生とか参考書みたいに、第三者から<習っている>と
ついつい英語に受け身に触れてばかりになるね。受け身の勉強も大切だけど、
時には、もっと積極的な勉強法をしても面白いと思うんだ。積極的な勉強法も
色々あると思うけど、さっきの予測、確認、修正(バージョンアップ)も、その
一例だろうね。