1 研究主題
| 伝え合う力 認め合う心 輝く阿部っ子 〜確かな学力と豊かな表現力を身につけた子どもをめざして〜 |
2 公開授業
(1) 1校時目「各教科」
| 学 年 | 教 科 | 単 元 名 | 指 導 者 |
| 小1・2・3 | 図 工 | うみものがたり | 野村 篤 蔭山 敦子 |
| 小5・6 | 社 会 | 黒船が日本を動かす | 林 哲史 |
| 中 1 | 数 学 | 比例と反比例 | 米田都司子 |
| 中 2 | 英 語 | Program5 How Often Do You Help Him? | 喜井 和子 |
| 中 3 | 理 科 | 自然環境と人間 | 糸林 和彦 |
| ○ | 1・2・3年生の図工では,貝殻や石,ビーチグラスなどの材料を,組み合わせたり,模様をつけたりして,海の生き物を作り,コルクボードに貼っていった。作る生き物や貼る位置などを話し合いながら活動する姿や,2・3年生が1年生を助ける姿が見られた。 | ![]() |
| ○ | 5・6年生の社会では,「開国すべきか,鎖国を続けるべきか」を議題に,ディベートを行った。グループで助け合い,7人全員が積極的に挙手し,説得力のある意見を発表することができた。振り返りの時間には,グループを問わず,良い意見を認め合うことができた。 | ![]() |
| ○ | 中1の数学は,たった一人の授業であったが,普段通りの様子で落ち着いてじっくり考えることができた。解いた問題は,黒板に書き写し,口頭で解いた過程を説明した。間違えた問題を解けるまで何度も考え直す,ねばり強い姿が見られた。 | |
| ○ | 中2の英語では,ウォームアップのしりとりゲームから始まり,ALTへの阿部の町の道案内など,明るく和やかな雰囲気の中で授業が進められた。友だちやALTと笑顔で会話をし,英語で会話をする楽しさを実感したようだ。 |
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| ○ | 中3の理科では,阿部の河川の水質調査を行った。それぞれの役割や手順などを自分たちで話し合い,主体的に実験を進めることができた。最後には,学んだことを生かし,阿部の川の環境を守るための具体例を考え,活発に発言することができた。 | |
(2) 2校時目 総合的な学習の時間『阿部とっておきガイドの達人になろう』
@ アピールタイム
| ○ | 参加者を引きつけるキャッチフレーズや,身振り手振りなど,趣向を凝らしたアピールを公開授業前に行い,自分たちのコースへの参加を呼びかけた。 | ![]() |
A ガイドの実践
| ○ | コース | |
| ・ | 小学校「いただきさんと出会うミステリアス阿部ツアー」 伝説の怪物「一本足」の紙芝居→海の幸豊富な磯の紹介→海をバックに「女郎碆」にまつわる伝説の紹介→昔の行商人「いただきさん」の説明→ところてんの試食 |
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| ・ | 小学校「阿部オリジナル!!ジャングル探検」 東谷川をさかのぼる→清流でゲッタロウ仕掛け体験→「ビッグストーン」と名付けた神秘の岩見学→野生の「アケビ」「ワケド」の試食→明神山が一番きれいに見えるポイント紹介 |
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| ・ | 中学校「阿部とっておきハイキングコース」 阿部を一望できる絶景スポット英霊塔→樹齢600年,県内で最も古く大きい「いぶき」の説明→手作りのさおを使って,ゲッタロウ釣り体験→今も残る井戸の説明→迷路のような道を通って学校へ |
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| ・ | 中学校「阿部の味覚と海のスペシャルツアー」 海を眺めながら,学校行事「シーチャレンジ」の説明→港でテトラポットや漁獲高の説明→エビ網漁について漁師さんに生インタビュー→中学生によるアワビの解体実演,試食付き→迷路のような道を通って学校へ |
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○ 参加者へのアンケート結果
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3 研究発表
発表者 : 阿部小学校 教諭 林 哲史 ・ 由岐中学校阿部分校 教諭 糸林和彦
| 発表の要旨 |
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| (1) 研究へのアプローチ 子どもたちは,豊かな自然の中で,地域の方,保護者の温かい愛情に見守られて,のびのびと育ち,子どもらしい素直さ,まじめさなど良い面をたくさん持っている。本校では,小・中学生が一緒に活動することが多く,小中通してのまとまりが感じられる。ただ,全般的に,集団の中で発言したり,積極的に人にかかわったりすることが苦手である。また,児童生徒相互に固定観念をもち,よい意味での競争意識も少ないように思われる。地域の方・保護者を対象としたアンケートでも,子どもたちにつけてほしい力として,「競争心」「表現力」「社交性」が上位にあげられた。その主たる原因として,少人数の集団で過ごしていること,小さい頃から同じ仲間で過ごしてきていることなどが考えられた。 以上のことから,本研究テーマを設定し,少人数の利点を生かした個に応じた支援,伝え合う力を培う手だての工夫,伝え合う経験を増やす場の工夫,学年や校種の枠をこえて,互いの良さを知り,認め合う心を育てる手だての工夫を本校の教育活動全体を通して行っていくこととした。 (2) 輝く阿部っ子をめざして 輝く阿部っ子をめざし,小中全体で取り組んできたことを紹介する。
次に小学校が取り組んできたことについて紹介する。
次に中学校が取り組んできたことについて紹介する。
(3) 今後に向けて 取り組みの成果としては,
また,今後の課題としては,さらなる少人数化の進む中,集団での話し合いの場を他校との交流や地域とのつながりの中に見つけていきたいと考えている。また,伝え合う力のさらなる向上を図るため支援の工夫を考えていかなければならない。 阿部校は少人数,へき地であるがゆえに他の学校と同じようにできないことがある。だが,阿部校だからこそできることもある。温かい保護者や地域のつながり,児童生徒の優しさや明るさ,そしてひたむきさが,この学校のエネルギーになっている。我々教職員も,子ども一人一人の良さを伸ばし,たくましく生きる力を育てるため,今後より一層努力していきたい。 |
4 研究協議
| (1) | スライドで,海の活動の時,長袖・長ズボンの体操服を着て海に入っていたが,いつも体操服で入るのか。入っているのであれば,危険ではないのか。(奈良県) | |
| ○ | アワビ採りなどの活動で海に入る時には,岩場など危険な場所や,危険な生き物から体を守るために,必ず長袖・長ズボンの体操服を着用させている。ウェットスーツなどを準備できないので,体操服で代用している。 |
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| (2) | 中学生の卒業後の進路について,阿部に残り漁業に従事する者はいるのか。(兵庫県) | |
| ○ | 中3の生徒は,隣りの市への進学を希望している。郡外,県外への就職を希望する者が多いが,いずれは阿部へ帰ってきたいという思いもあるようだ。漁師になることを望んでいる生徒もいるが,漁業は厳しいため,跡を継がせたくない保護者が多い。 |
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| (3) | 総合的な学習の時間の「とっておきガイドの達人になろう」について,小中学校合同の時間と別々の時間があるようだが,時間数と分け方の理由はどのようになっているのか。(大阪府) | |
| ○ | 当初,最初の合同オリエンテーションやコースの相談など,小中学校合同で4時間行う計画を立てていたが,GTを招いたり,リハーサルを行ったりして,合同で10時間行った。小中学校別々の時間には,各コースに分かれて,合同の時間に出てきた課題を解決するために,コースに修正を加えたり,更に調べたりと,それぞれに準備を進めてきた。 |
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| (4) | 阿部校が作成している「国語科の伝え合う力が育つ年間指導計画表」の作り方や参考にした資料を教えてほしい。(大阪府) | |
| ○ | 県内の国語の研究が進んでいる学校から資料をいただいて参考にした。まず,各学年でつけさせたい力を明らかにし,発達段階などをふまえて,小学校は学級担任,中学校は国語教員が計画表を作成した。その後,9年間系統的に学べるものとなるように,小中学校一緒に検討し修正を加えて,1つのものに仕上げた。 |
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| (5) | 小中併設を生かし,社会や音楽など,教師間の授業交流や複式解消は行っているのか。(佐賀県) | |
| ○ | 基本的には,小学校は小学校の教員が,中学校は中学校の教員が指導をしている。ただし,総合的な学習の時間や特別活動など,小中学校合同で行うことが多く,その時には,小中学校関係なく全教員で指導に当たっている。複式解消については,町費の教員が入っており,小学校の国語は複式解消ができている。算数だけ複式で授業を行っている。 |
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| (6) | 5・6年生が一緒に,社会科で6年生の歴史単元を勉強していた。5年生が6年生になった時,5年生の地理単元を勉強することになるのか。その場合,中学校との授業のつながりはどうなるのか。何か手立てはしているのか。(佐賀県) | |
| ○ | 社会・理科は,AB年度で学習を進めている。5年生は来年,5年生の社会・理科を学習する。中学校へのつながりまでは配慮できていないが,小中併設を生かし,小中学校の教師間で相談し合い補っていくようにしている。5・6年生で同じ学習をすることで,実験をする時や屋外に出る時に,目がゆき届き,安全面に配慮できるという利点がある。また,人数が多くなることで,多様な考えに触れられるという利点もある。 |
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| (7) | へき地・小規模校の子どもは,競争心や表現力が育たないと,きまり文句のように言われてきたが,そうではないと,阿部の子を見て確信し,自信と誇りを持った。阿部の子どもたちは生き生きと自信に満ちた表情をしていた。5・6年生のディベート形式の授業では,レベルの高い意見が飛び交った。子どもたちが,大変育ってきていると感じた。(徳島県) | ![]() |
5 指導・助言
〔徳島県教育委員会 学校支援課 指導主事 藤田 完 先生〕
| ○ | 5学級での公開授業を通して,決して型にはまった言葉ではなく,自分の考えや思いを,音声で伝えることができていた。 1学期に行われた5・6年社会科の研究授業を参観したが,そのとき以上に7名の児童が,声の大小やメリハリをつけるなど,説得力のある話し方を身につけていた。自分のめあてを自分の言葉で振り返るなど,すべての学年において音声言語を用いて伝え合えていた。 |
| ○ | 2校時目の「阿部とっておきガイドの達人になろう」では,小中学生それぞれが迎える人に喜んでもらえるようなコースにするため,阿部の地域の素材を吟味して考えられていた。私はミステリアスコースに参加したが,自分の言葉で大きな声で説明し,我々を楽しませてくれた。ガイドの中で阿部校が求めている豊かな表現力が培われていることを実感した。 |
| ○ | 阿部校のテーマは「伝え合う力認め合う心輝く阿部っ子〜確かな学力と豊かな表現力を身につけた子どもをめざして〜」となっているが,このテーマがどのようにして生まれてきたのか。 子どもの実態を踏まえた先生からの発案だけではなく,保護者や地域の方(保護者以外)が阿部校の教育に何を期待しているのか,また阿部校の子どもたちをどう思っているのかを知ることを目的としたアンケートをすでに2年前に実施していた。その上に,今日的な課題を考慮し,これら3つの視点からこのテーマを掲げたことは,大変素晴らしいことである。子どもたちにつけさせたい力を各学年に応じて具体的に示し,小学校では「話しタイ聞きタイ伝えタイ」マニュアルや振り返るためのカルテを作成するなど,音声言語を伸ばすための指導を中心に行ってきたようだが,文字言語の力もついてきている。子どもたちのワークシートの書き方や文字を書く速さなど,確実にスキルアップしている。 さらに,研究の取り組みが的を得ている。学校・学級経営と学習指導という両面からのアプローチがきちんと行われている。各教科や学校生活のあらゆる場面において,子どもの可能性を引き出すことができている。 |
| ○ | 阿部の地域に根ざした様々な活動を実践している。子どもたちが地域の魅力を見つけ,地域の人たちと関わりを持ちながら,阿部の地域ならではの学習活動に取り組んでいる。 |
| ○ | 文部科学省が昨年10月に出した「命を大切にする教育」の3本柱の1つとして,伝え合う力を育てる教育の充実というのが挙げられている。阿部校の取り組みは,今,全国的に考えていかなければならない最先端の取り組みといえる。 小中併設校が少ない中で,小中が連携し,そのよさを生かしつつ,さらにそれぞれの目的を明確化した義務教育が行われている。 |